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飲食業界にいまだに残る労基法違反──現場と経営の狭間で思うこと

飲食業界にいまだに残る労基法違反──現場と経営の狭間で思うこと

飲食業界にいまだに残る労基法違反──現場と経営の狭間で思うこと


飲食業界に30年身を置くおっさんの独り言



「今日も残って仕込みか…」「休憩?そんなもん取れたら奇跡だよね」

そんな声が厨房の隅から聞こえてくる。

誰かが怒鳴ってるわけでもないし、強制されてるわけでもない。

でも、なんとなく…そうせざるを得ない空気がある。



サービス残業の原因は“誰か”じゃなく“構造”


飲食業界における労基法違反、特にサービス残業は、単なる経営者の怠慢だけでは語れない。

先輩社員やベテランパートさんが「昔からこうだった」「これくらい普通」と言えば、若手は黙って従うしかない。

無言の強制、現状肯定の空気。それが一番厄介だと思う。



店長の“板挟み”と目標数値の現実


店長は現場の責任者。でも、権限は限定的。

本部からは「売上を〇%上げろ」「人件費を△%以内に抑えろ」と目標が降ってくる。

でも、現場の人員は足りない。教育も追いつかない。

結局、自分が残って回すしかなくなる。



参考:飲食店店長の個人目標の立て方



“目標数値”より厄介なものがある


それよりも厄介なのが「多少のただ働きを許容する人」が職場の上位にいること。

職位が上、社歴が長い、そんな人が勤務時間前に出勤し、退勤時間を過ぎても働いている。

それを見た部下や後輩は、何も言えず、同じように働かざるを得なくなる。



“悪意なき無言の圧力”


こういう上司や先輩に「それっておかしくないですか?」と指摘しても、

返ってくるのは「自分は不満に思ってないから気にしないで」。

つまり、自分がしていることの問題点に気づいていない。

これはもう、無自覚な不法行為。そして、不法行為の無言の強制、空気作りでもある。



“無能な主戦力”という矛盾


こうした先輩たちは、時間内に仕事を終える工夫や努力をせず、

勝手に時間を延長して対処する。

結果として、職場に残るのは同じような能力の低い人か、何も疑問を持たない思考停止した人たち。

そして職場は、深刻な人員不足と改善の進まない集団へと変貌していく。



有能な店長ほど病む構造


この環境は、有能な店長ほどストレスになる。

なぜなら、こうした“能力の低い人々”が実質的な主戦力になっているから。

改善しようにも、抵抗される。変えようにも、協力が得られない。無自覚な反発となる。

結果として、見過ごせる店長と改善を諦めた店長だけが残り、職場の質はさらに低下する。



本部側の“見えない怠慢”──人件費予算の設計ミス


サービス残業の原因は、現場だけじゃない。

本部、つまり経営者側にも構造的な問題がある。

そもそも、現場作業に必要な人件費(標準作業時間×時給)に対して、予算が足りていないことがある。



標準作業時間の“無視”と経費配分の“誤算”


原因は大きく2つ。

① 標準作業時間が不明、あるいは無視されている。

② 必要な人件費を確保するための売上計画や経費配分が間違っている。

つまり、根本的なマネジメントの段階でミスしているわけだ。



参考:飲食店の人件費を徹底解説|適正比率と経営戦略

参考:標準時間の設定による業務効率化|花王プロフェッショナル



経営戦略の不在が現場を追い詰める


もちろん、人件費だけを中心に経営数値を考えろとは言わない。

でも、必要最小限の人件費はあるわけで、それをどうやりくりするかが経営者の仕事だと思う。

売上を増やすのか、その他の経費を抑えるのか、ローコストオペレーション化するのか。

いずれにしても、それは経営方針であり、経営戦略の話だ。



現場に“丸投げ”する無責任


それを放置して、現場に「なんとかしろ」と言うのは、無理がある。

限られた権限の中で、限界まで働いてる現場に、さらに無理を強いる。

それで回ってるように見えても、実際は誰かが削られてるだけだ。



食事が持つ“場”の力


子供の誕生日のお祝い、大切な恋人との時間、旅先での楽しみ、家族でのお出かけの締めくくり、疲れて食事を作りたくないとき、職場の仲間との慰労、

ビジネスの情報交換やコミュニケーション──

食事は、ただの栄養補給じゃない。

人と人をつなぎ、場をつくり、人を手助け、ときに記憶を刻む。



飲食業への想い──食事が人生を彩るものだから


私がこれまで携わってきた飲食業は、そんな“場”を提供する素晴らしい仕事だと思っている。

だからこそ、そこで働く人たちが、その喜びを実感できて、誇りを持てるような職場にしたい。



そんな悩みを持つ飲食店経営者の方へ


現場の疲弊、構造的な問題、改善の難しさ──

もし、今の状況に少しでも悩みや違和感を感じているなら、

その声に耳を傾けたいと思っている。

飲食業界の現場を知っているからこそ、できる支援があると信じている。

お力になりたいです。



今、飲食店で働いていて苦しんでいる店長や社員さんへ


個別相談(店舗運営ノウハウ講座・お悩み相談)も受けています。お気軽にご相談ください。

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